2022年10月1日から、短時間労働者に対する厚生年金保険などの適用範囲が拡大します。
さらに2024年にも拡大します。(表参照)
要件 | 2016年10月~ | 2022年10月~ | 2024年10月~ |
① 企業規模 | 501人以上 | 101人以上 | 51人以上 |
② 勤務期間 | 1年以上 | 2ヵ月以上 | 2ヵ月以上 |
③ 労働時間 | 週20時間以上 | 週20時間以上 | 週20時間以上 |
④ 賃金 | 月額8.8万円以上 | 月額8.8万円以上 | 月額8.8万円以上 |
⑤ 学生除外 | 学生除外 | 学生除外 | 学生除外 |
週20時間以上働き、月額8.8万円以上の賃金をもらっているパート勤務の人が、501人以上の会社で働いている場合は、厚生年金保険や健康保険に加入しなければなりませんでしたが、10月1日からは、101人以上の会社で働いている場合に加入しなければならなくなりました。
つまり、厚生年金保険や健康保険に加入しなければならない人が多くなったということです。
厚生年金保険や健康保険に加入するということは、毎月の給料からより多くの保険料が天引きされるということです。同時に雇用保険料も天引きされます。40歳以上であれば介護保険料も天引きされます。
これらの保険料の総額は、給料の約15%です。パート勤務の給料が月額10万円とすると、毎月1.5万円の保険料が天引きされることになります。
今まで夫の扶養に入っていれば、毎月3万円も天引きされなくても済んだのに、10月からは、手取りがグッと少なくなってしまいます。
この負担の増大をたいへん理不尽と考える人もいると思います。「なんのメリットがあるのだろう? 誰にとってメリットがあるのだろう?」と考えてしまいます。
仮に月10万円のパート収入がある場合、厚生年金保険料と健康保険料の合計は約1.4万円です(厚生年金保険料率:9.15%、健康保険料率:5%)。
社会保険に加入することにより手取りが約1.4万円減りますが、メリットもあります。
パートで20年働いた場合、老齢厚生年金が年額約13万円増えます。
65歳から受給して95歳まで生きると、30年間で390万円も年金額が増えるのです。
さらに病気やけがをして会社を休んだ場合、月額約6.7万円の傷病手当金が最長1年半支給されるのです。
夫の扶養をはずれ自ら社会保険に加入し、保険料の負担が増えても将来の年金額が増えメリット、病気やけがをしたときの傷病手当金がもらえるメリットもあるのです。
社会保険料を払って「支え合い制度」に協力することになるというメリットもあります。